【¥↓】 HUNGER / SUGOROKU [CD]
〈旅〉をコンセプトにした作品を作り上げたいと語っていた彼が、構想から約8年間の歳月を経て、ついに完成させたソロ・アルバムが『SUGOROKU』だ。
聴き終えたから、がゴールじゃない――さかのぼること2008年、HUNGERは人知れずモンゴルへと赴き、現地在住の兄弟ラッパーをフィーチャーした「One Time In Mongolia」をレコーディング。当時から〈旅〉をコンセプトにした作品を作り上げたいと語っていた彼が、構想から約8年間の歳月を経て、ついに完成させたソロ・アルバムが『SUGOROKU』だ。このタイトルには、ボードゲームの代名詞〈すごろく〉の意味に加え、「スゴい作品が録音できた」というみなぎる自信の意味を持つ〈スゴ録〉の側面も持つ。前者は、モンゴルからスタートし、アメリカ、オーストラリア、タイ、韓国と、HUNGERが旅の行く先々で出会ったクリエイターやラッパーたちとセッションを重ね、1コマ1コマ歩みを進めてきた想いを投影し、後者には、刹那的であっても旅先で手にしたかけがえのない財産という想いが込められているのだろう。そして、多国籍セッションでありながら、HUNGERの個性あふれる日本語でのリリックは、まさに〈素(の)語録〉とも言える。
本人曰く、「これは旅で出会った数々の才能たちとのセッションであって、一種のコンセプト・アルバムのようなもの。“初のソロ・アルバム”という意味合いとは違うかもしれないけど、苦節8年、こうしてひとつの形にまとめられてよかった」と語っている。楽曲のプロデュースを担うは実兄DJ Mitsu The Beatsをはじめ、DJ Rhettmatic(Beat Junkies)、6th Generation、Monkey_sequence.19らグローバルな面々が名を連ねる。HUNGERが提唱する極上の〈Hip Hop Trip〉の完成形が、リスナーの価値観をまた一歩進める。
(文:佐藤公郎)
・参加アーティスト
John Robinson(アメリカ)
Blu(アメリカ)
Exile(アメリカ)
Johaz(アメリカ)
Choosey(アメリカ)
DUJADA(タイ)
El Da Sensei(アメリカ)
Coin Banks(オーストラリア)
Shing02(日本)
Boldoo(モンゴル)
Quiza(モンゴル)
Make-1(韓国)
JINBO(韓国)
SEAN2SLOW(韓国)
Maya(日本)
The?love(日本)
san(日本)
・参加プロデューサー
DJ Mitsu The Beats
Dj Rhettmatic for Beat Junkie Sound
6th Generation
Monkey_sequence.19
DJ KAZETTA
PLAMOND
■PROFILE
HUNGER (GAGLE / Jazzy Sport)
仙台出身のヒップホップアーティスト。GAGLEのMC。滑舌良いラッパー。一度聴いたら忘れられない独特なリズム感であらゆるビートの波を乗りこなす。一方で、時代の空気と真摯に向き合い、生み出すメッセージ性の高い楽曲「雪ノ革命」「屍をこえて」「うぶこえ」などは世代を超え愛され続けている。
MCとしての活動と平行し”繋がりから生まれるアイデアを形にする音楽ラボ”として「松竹梅レコーズ」を2003年より主宰。地元仙台のアーティストの音源制作や海外のアーティストとの連携プロジェクトなど約60作品をリリースしている。