【DEADSTOCK】 仙人掌 & QROIX / Inbound
このEPは仙人掌とQROIXのサボタージュとメランコリックが自らの内を削り、堀探る様を詰め込んだ唯一無二のsmorkey town blues。また暑い季節が始まろうとしてる。
雲のすき間から斜陽が顔を出し梅雨の終わりをつげる雨上がりのQXスタジオ。モニターは古い映画が垂れ流され、スピーカーからbeatがloopされている。beatを聴きリリック綴る仙人掌。床に散らかったレコードや雑誌と同化している。ソファで煙を燻し曲の編集を進めるQX。こんな調子が昼下がりから続き2人の集中力が切れかけた時、LOOPの途切れたタイミングで映画の台詞だけが聞こえてきた。
『オレ、もう終わっちまったのかな…』
『まだ、始まっても無ぇよ』
その刹那、QXが飛び起き咆哮した…
「オレだって終わって無いし!」
「てか、始まっても無いから!」
咆哮と同時にbeatのloopが始まり、咆哮はbeatに掻き消され、虚無感だけが残った。虚無感が部屋に広がるなか、仙人掌がペンを置き
「クロくん!ビール呑み行こう!」
屈託の無い笑みだった。QXは頷き、当てもなく2人は街にくり出す。街が帰路に着く人を照らす頃、彼らは先に一杯かっくらう…このEPは仙人掌とQROIXのサボタージュとメランコリックが自らの内を削り、堀探る様を詰め込んだ唯一無二のsmorkey town blues。また暑い季節が始まろうとしてる。
(text by Kyuma Kamikawa)