ISAZ / BORN UNDER A BAD SIGN
RCSRECS.のMIXCD部門「Royalty Club」の第13弾。名古屋市在住の思いつきと閃きで行動するビートメイカー/DJ、ISAZによる2019年作『BORN UNDER A BAD SIGN 』。
RCSRECS.のMIXCD部門「Royalty Club」の第13弾。名古屋市在住の思いつきと閃きで行動するビートメイカー/DJ、ISAZによる2019年作『BORN UNDER A BAD SIGN 』。
「ヒップホップはラッパーだけが主役じゃない」。名古屋のある男は、いまみんなが忘れかけている重要な事実を、記憶が正しければSNSを通じて発信した。DJのISAZのこのミックスを聴くと、この言葉を思い出す。DJが音楽文化を作り出す。DJミックスとはいまさら言うまでもなく批評行為である。そのDJの音楽に対する考え方の表明であり、聴取のあり方を曝け出すことだ。1曲目のムーディーなジャズから2曲目への流れからして秀逸だ。僕は無知ゆえにまさかこの曲がヒップホップのインストだとは最初はわからなかった。ハワイアン・ファンクからまたデトロイトのラッパーの曲に戻り、ヘッズが血沸き肉躍るような90年代のアンダーグラウンド・シットから、いま巷を騒がすアルバムを出したばかりのエレクトロニック・ミュージシャンが主宰するレーベルから世に出たUKソウルへ展開する。何度も聴けば、いや、耳の良い人であれば、一度聴いただけで、なぜISAZがそれらの音楽をDJミックスという行為で結び付けようとしているかは理解できるだろう。『BORN UNDER A BAD SIGN』が提示するユニークな音楽の解釈に触れることは、人を創造行為へ駆り立てる。それが、「ヒップホップはラッパーだけが主役じゃない」という意味だ。
二木信
枯れ草とアルコールでこれでもかと酩酊していた深夜2時頃、栄の裏筋にあるミュージックバーでとてもスムースなHIPHOPを聴いた。客入りこそ少ないが自分より若い人達がとても楽しそうに音楽を聴いていた。そこにはあの特有の異臭はなく、太いベースラインと抜けの良いスネアが鳴り響いていた。その光景は自分が好きだった音楽が何だったのかを思い出させるには十分だった。次の日、夕方ごろに起きた僕はXLのロングスリーブと太めのスラックス、6INCHのティンバを履いてレコード屋に向かう準備をしていた。後日、その日、その時間、DJをしていたのがISAZだったと知った。
ATOSONE