M.A / SECOND LINE
京都を拠点に活動するBONG BROSのビートメイカーM.Aがプロデュースするコンピレーション/サウンドトラックが完成。和楽器が入って現行の和JAZZ HIP HOPてな感じに聴こえるものも
映画"イージー・ライダー"の二人組が目指したのもニューオーリンズのマルディグラだった!RIGHT PLACE, WRONG TIME 宵待ちの木屋町 宵山の謝肉祭!
京都を拠点に活動するBONG BROSのビートメイカーM.Aがプロデュースするコンピレーション/サウンドトラックが完成。
プロデューサーM.A/ラッパーMOTO ACCE(モトアクセ)によるセカンドアルバム"SECOND LINE"の発表。前作"ICIN"に引き続き今回もM.Aの代名詞とも言えるレコードサンプリングを基調とした音作りは、常にクールで綿密に編み込まれていて、温かい音像の中に以前より艶感や響きの豊潤さが増しているように感じた。それは機材の変化や仕上げ(ミックス・マスタリング)の違いによる所が影響している様に思うが、尺八:NUMABARA、鍵盤:KUGE-SUNの生楽器も随所に使用されていて、至極ミニマルなトラックもあれば、和楽器が入って現行の和JAZZ HIP HOPてな感じに聴こえるものもあり、今作でもアップデートされたM.Aの世界観が楽しめる。
そして取り上げるべき要素として重要なのはアルバムの構成で、インスト曲とラップ曲が交互にやって来る。情景が湧き上がって来る様なシブいインストから、ブルージーなソロ曲やBONG BROSの面々が登場して来る感じは、M.Aが監督する京都の街のサントラを聴いてるような感覚で、そういう仕掛けもM.Aというラッパー/プロデューサーの人柄が表現されていて面白かった。
それからタイトルの"SECOND LINE"にはソロ2作目だとかいくつか意味が掛かってる気がするが、音楽の世界でのセカンドラインとはアメリカ南部ルイジアナ州ニューオーリンズ(NEW ORLEANS)で産まれた、ブラスバンドを伴う演奏スタイルで、シンコペーションしたグルーヴが最高なんですが、(⑧"GRIS GRIS~オレンジの悪魔~"はもろにセカンドラインのブラスバンドを使用したダンストラック!)どうやらこのニューオーリンズが裏のテーマになっていて、リリックやサンプルネタに散りばめられている。何を隠そう僕はニューオーリンズのFUNK辺りからドハマりしてアラン?トゥーサンやDr.ジョンやらミーターズ...etc...色んなニューオーリンズのレコードをM.Aと聴かせあってきた経緯があるから正直めちゃくちゃ嬉しかった。でもなぜ南部のニューオーリンズに焦点を当てたのかを考察してみると、JAZZ発祥の街であったり、ほっこりとした音の質感にも通じるものが有るが、1番ピンと来た点はやはりシンコペーションしたビートのノリではないだろうか?ニューオーリンズのリズムには独特のシンコペーション$,$"$C$F!"50~60年代にアメリカ南部のラジオがメキシコ湾からカリブ諸国までかろうじて届いていて、劣化した音をなんとか聞き取って我流に解釈され進化していったのがジャマイカのSKAやROCK STEADYになっていったと言う逸話もある。少し脱線してしまったが、M.Aも緻密なシーケンスとシンコペーションさせたビートを用いて、プログラミング(打ち込み)なのに極めて生っぽいビートを編み出している。要するにニューオーリンズの音楽とM.Aのビートには親和性があったと言う事だと思っている。そんな遊び心とリアリズムが混在し、色んな国の音楽を煮込んで作るM.Aのガンボを是非ご賞味頂きたい。
文:P.E(BONG BROS)