WILYWNKA / COUNTER
3年ぶりの3rdアルバム『COUNTER』をリリース!!VIGORMAN、Young Coco、Leon Fanourakis、MFSなどが参加!!2022年現在のWILYWNKAにとっての "所信表明" と言えるし、彼だからこそ意味のある「快進撃(カウンター)」なのだ。
『COUNTER 』 は、2022年現在のWILYWNKAにとっての "所信表明" と言えるし、彼だからこそ意味のある「快進撃(カウンター)」なのだ。
2019年に 2nd アルバム 『 PAUSE 』 を発表して以降の WILYWNKA は、自身も所属する変態紳士クラブとして「YOKAZE 」の大ヒットや初の武道館ワンマン公演などを経験。恐らく WILYWNKA 自身のキャリア上、最も激動且つ大きな飛躍を遂げた数年間だったのではないかと思われる。そして変態紳士クラブとしてメジャーの最前線で闘い続ける一方、ソロ・ワークも活発にこなしてきたここ数年だった。2020年には BACHLOGIC をメイン・プロデューサーに迎えた EP 『 EAZY EAZY 』 を発表。その後、2021 年には CHANCE THE RAPPER の大ヒット曲「 NO PROBLEM 」などを手掛けたことで知られるBrasstracksとのコラボ楽曲「 Our Style 」で長期に渡るバイラル・ヒットを飛ばしたかと思えば、2022年 1 月には BES や ISSUGI を迎えた EP 『 NOT FOR RADIO 』 をリリース。そして、満を持して 3 年振りにリリースされるフル・アルバムが 『 COUNTER 』 だ。今作の音楽性に耳を傾けると、太いベースラインとドラムが否応無しに首を振らせるブームバップ・ビート、アタックの強いドラムの上に乾いたハイハットが敷き詰められる現行感強めのビート、そして温もりのある音飾とメロディアスな曲調が心地よいメロウ/チルな楽曲群など多要素な音楽性だが、WILYWNKAは難なくそれらのビートを乗りこなしていく。どの要素もWILYWNKA がデビュー初期から乗りこなしてきたスタイルだが、先述した Brasstracks や、WILYWNKAが憧れてきた NY ラッパー集団: DIPSET 関連のプロデュースでも知られる ARAABMUZIK が制作に関与していたり、BACHLOGIC、JIGG、KM ら日本を代表するプロデューサーたちも名を連ねていて、今作のスケールアップ/グレードアップに貢献している(ARAABMUZIK と Brasstracks との制作の様子は VLOG 「 WILYWNKA EVERYDAY 」にて YouTube に公開されている)。また、今作のマスタリングは、KANYE WEST や Juice WRLD など US ヒップホップ界の錚々たる面々を手掛け、『PAUSE 』 以降の WILYWNKA の作品でもその手腕を発揮してきた日本人エンジニア: Tatsuya Sato The Mastering Palace NYC )が手掛けている。これらサウンド面のメンツとは打って変わって、フィーチャリングには同じく変態紳士クラブのメンバーであるVIGORMAN をはじめ、Young Coco, KID PENSEUR & STICKY BUDS、 MFS 、 BYNGSUNG KIM の大阪勢と、レーベルメイトであるLeon Fanourakis といった仲間たちで固められているところにも注目したい。各曲のテーマやリリックに目を向けると、豪奢な振る舞いを見せつけたかと思えば、タフでリアルなストリートの景色も描写する。不遜な態度が曲に現れることもあれば、筋や仁義を通す姿勢がリリックに現れたりもする。どれもWILYWNKA の等身大であり、活動初期からブレていない姿をラップしている。つまり、彼は何も変わっていないし、これからも変わるつもりがない。アルバムを通してそれを主張しているように聴こえる。そして、トレンドに左右され右往左往してしまいがちなヒップホップ・シーンに対し、彼の思うオーセンティックなヒップホップを追求しようとするその姿勢を通してメッセージを投げかけているようでもある。そしてその姿勢こそが、WILYWNKA が現行のヒップホップ・シーンに対して起こすカウンター・アクションそのものと言えるだろう。また、「That's Me 」で「暗闇からフック/ Counter Culture 」とラップしているように、改めてカウンター・カルチャーとしてのヒップホップを再提示しているようにも受け取ることが出来る。たとえ今後、ポップ・フィールドでラッパーとして前代未聞のサクセスを手に入れることになったとしても、彼の根っこはブレないどころか、その根を更に掘り起こすことでより太い姿を顕わにし、更にその根の先端を尖らせていくのだろう。『COUNTER 』 は 2022 年現在の WILYWNKA にとっての“所信表明”と言えるし、彼だからこそ意味のある「快進撃(カウンター)」なのだ。