【DEADSTOCK】 DJ Ryow a.k.a. Smooth Current / Redefinition Of Classics Vol.3 -UPLIFT SPACE-
"90s HipHop Classics"再構築MIXの続編が300枚限定でリリース!!HIPHOPという枠組みの中にも跳ねた女性Vocal RapやNew Jack Swing・R&Bなど歌もの好きにも響く、冬をアップテンポに乗り切る意表を突いた秀逸作!!
一昨年・昨年にリリースしたVol.1、2は既に完売。
90年代初期より小箱を中心とした現場で最前線から発信していたDJ Ryow a.k.a. Smooth Current氏が手掛ける"90s HipHop Classics"再構築MIXの続編が300枚限定でリリース!!
シリーズ最終章となる本作は、HIPHOPという枠組みの中にも跳ねた女性Vocal RapやNew Jack Swing・R&Bなど歌もの好きにも響く、冬をアップテンポに乗り切る意表を突いた秀逸作!!
【Text By RYJZ1】
あまりの意外性に耳を疑った。
DJ Ryowのアナザーストーリー。
Redefintion Of Classicsのシリーズ3作目はそう評したくなる新作。
誤解を恐れずに言えば、今作はHiphop Classicsの持つ魅力を最大限にUpliftした「歌モノ感覚」Mixだ。
この言葉だけでは常軌を逸した偏物と成り果てるのでその理由とMix全体像を少しばかり。
幕開けはDJ Ryowが最も得意とするスクラッチから。
Walkin’Largeのトラックに、既存曲かの如くハマるそれは衰え知らずのキレの良さ。掴みはなんたら、否応なくもたらされる高揚感に「起」の重要性を痛感させられる。
本章に入るとEric B. & Rakim、L.L. Cool J、Original Flavorと毎作のタイトル通り、Hiphop Classicsが網羅されていく。
そしてクラブ界隈では伝説とも言われるQueen Latifah「Fly Girl (Piano Mix)」辺りからだろうか、染物のグラデーションの如く徐々に濃度を明らかにしていく「歌モノ」の生地。
聴覚がその衣に包み込まれるのを確信した頃にはDJ Ryowの策に溺れ、見事に踊らされている。(言うのも野暮、ダブルミーニング)
記述の通り、意外性のタネは至極シンプル。Hiphop Classicsの中でもサビにR&B的メロディを携えた曲や実際にR&Bそのものの曲が多数収録された事、それこそが最たる起因。
ただ、それだけでは単なる他愛も無いありふれたMix作品になるのは言うまでもない。
Heal YourselfやUptown Anthemといった「歌モノ」とは遠方にある「ゴリゴリ」の差し込み方がなにしろ絶妙で、長年のキャリアと唯一無二のスキルを獲得してきたDJ Ryowにしか成し得ないMixingでGrooveを全く崩すことなく、いや、却って加速させる程の「歌モノ感覚」を構築させているのだ。
長年のキャリア…
「Club bar FAMILY」のDJ Ryowというイメージをお持ちの方が多いと思うが、今作においては更に時代は遡り、クラブ「Terminal」時代(恐らく1994年辺り)のPlayを我々に落とし込んでくれた非常に稀有な作品とも受け止められる。
意外性はこんなところにも。
当の主人公からすれば、己の引き出しを作品にしたまでなのだろうが。
あのDJ RyowがこんなPlayを…!
1作目から今作までを考察すると、一夜のクラブイベントの時系列に準えらることができる。
作品を追うにつれオープンからライブ、そしてピークタイムへと移行していく構図である。(未聴の方含め、前2作品はこれを参考に是非聴いて頂きたい)
今作はそのピークタイムの作品にあたり、提示されたDJ Ryowの回答は、Hiphopに隣り合わせのR&B、つまり「歌心」の存在が必要不可欠なエレメンツという真実を謳ってみせたのだ。
R&BがHiphopのサブジャンルの様な扱いを受けて久しい中、このMixではむしろHiphopがR&Bに受けてきた恩恵を見事なまでに証明し、一石を投じているように感じさせてくれた。
そう、何より元来「ゴリゴリ」なDJ Ryowの手腕から放たれたのなら説得力は尚のこと。
DJ Ryowのアナザーストーリーに痛く感心し陶酔した。
否、今も陶酔している最中。
執筆という理由以外で純真に「鬼リピ」をかましている次第。
さぁ理屈は抜きだ、踊れ。
RYJZ1
■PROFILE
DJ/トラックメイカー。
国内外各地のイベント、有力アーティスト達と共演する等、豊富な現場経験はシーン随一。Hydeout Productionsの黄金期をレジデントDJとして支え、Nujabesと共作し話題となったオフシャル・ミックス音源「Hydeout Sound Lab」や、自身のオフィシャルミックス音源「Optical Axis」(Ultravibe)、「Live@Somewhere」(HMV)、金字塔を打ち立てた「Pleasure Unplugged」、「Family」シリーズなどをはじめ、ミックス作品も多くリリース。2017年8月に長年の沈黙を破りリリースした「Redefinition Of Classics~Feeling In Sadness~」、2018年8月に続編としてリリースした「Redefinition Of Classics Vol.2 ~Elation Flowing~」はいずれも完売。
トラックメイカーとしても『Blue Chronicle』、『GEMS EP』、1st アルバム「Maintain The Focus」、インスト集「Scenes From Life」、2nd アルバム「Trace The Roots」、その他、国内外アーティストのリミックス・楽曲提供等、その色彩豊かで流麗なサウンド・プロダクションが多方面に高評価を得ている。
ボストンの奇才Insight、Shin-Skiと「ShinSight Trio」としても活動。今までに3枚のアルバムをリリース、テイチクレコードよりメジャーデビュー。日本はもとより、中国、台湾、韓国、シンガポールのチャートでも上位を獲得。
中国大手テレビ局「ICS」の正月特番や、Casio「Shock The World in Shanghai」等に出演、さらには、台湾の雄、Soft Lipaとのコラボで台湾進出等、活動を世界に広げ活動中。
オリンパス/リニアレコーダー、LSシリーズのインフルエンサーとしての活動 や、パイオニア「Steez」への楽曲提供など、クラブ・フィールドにとどまらないその活動と、DJとしての「確かな耳」と「絶大な影響力」が多くのファンを魅了し続けている。